その土地ごとに独特の文化があります。

中でも方言はその土地ならではの特有の文化の一つといえるでしょう。同じ関東圏でも方言と意識せずに使っているものは数多くありますし、言葉は同じでもイントネーションが違う場合を含めると膨大な数になります。

方言に関してはその土地の年配者に聞くのが一番早いのかもしれません。

もちろん地元の若い世代の人も普段家族や身内の間では方言を使って話をします。それでもよそから来た人と話す場合はいわゆる標準語を使って話すことが多いので、なかなかどんな場面でどんな方言を使うのかが分かりにくいからです。

年配者たちと話をすると早く覚えられる

近所の年配の方と親しくなり、時々お茶を飲みに顔を出せば農繁期以外ならきっと歓迎され、いろいろな話しをしてくれることでしょう。

方言の意味が分からない場合、話の腰を折らない程度にどんな意味か尋ねてみるのもいいでしょう。

そして、初めはぎこちなく思えてもどんどん方言をつかって地元の人と話してみましょう。使い方が間違っていれば親切な方は教えてくれますよ。

そのうち使い慣れてくると、地元の人も以前とは違って方言を使って話してくれるようになるものです。それは、よそ者としてではなく地元の人間として扱ってくれていることを示す目に見えないサインとも言えます。そうなればもう田舎暮らしも一人前です。

“むし”ってどんな意味?

私が以前住んでいた地域には方言の中にも敬語表現と普段の場面に使う方言が分かれてました。例えば、年配の方と話していると話の語尾に「…むし」とつけるのです。

初めてその方言を聞いた時には、おばあちゃんが「むしむし」言って何だかカワイイくらいにしか思っていませんでした。

でも後でそれが相手に敬意を表す丁寧な表現の方言であることを知って、年配の方が孫くらいの年齢の私に敬意を示す表現で話してくれたことを知って思わず感動してしまいました。

「むし」という方言の敬語表現はすでに年配の方々の間でしか使われなくなっている希少な表現の一つとなっています。
きっと世代交代でこういう美しい表現の方言がどんどん失われて、忘れられてしまうと思うと何だかもったいない気がしましてなりません。

田舎のおばあちゃん達とおしゃべりをして、その土地特有の方言という一つの文化に接すると、しみじみと言葉って奥が深いんだなぁと実感します。