田舎の春は感動的です。淡い黄緑色の柔らかな新緑が出始めると、まるで花のつぼみが枝一面についているように感じます。
田舎暮らしの春の楽しみはなんといっても山菜採りでしょう。ふきのとうやタラの芽、ウド、山椒、わらびなどは山菜の代表ともいえます。

私が気に入っていたのはコゴミと婿泣かせ

私が田舎暮らしをして初めて知った山菜で、なおかつお気に入りなのが、コゴミと婿泣かせです。

コゴミはゼンマイのように芽がくるりっと巻いています。それでもゼンマイより毛で覆われていません。こゴミという呼び名は俗称で正式名はクサソテツと言います。ゼンマイのようにアク抜きの必要がなく、手軽にいただけるのも魅力のひとつです。

天ぷらで食べるのもいいですが、私が気に入っているのは、さっと熱湯にくぐらせたものをマヨネーズ醤油とかつお節でささっと和えたものです。

コゴミは山菜独特の苦味がなく、さっぱりしているのでとっても食べやすいです。あのなんとも言えないやわらかな食感も好きですね。

ある時地元の友人から採りたてのコゴミをたくさんいただきました。たまたま実家に帰る予定だったので手土産に持って行くと、たまたま実家にお客さんが来ていました。早速コゴミの和物を作って夕飯の一品に出すと初めて食べたようで、とても美味しいとたいそう喜んでいただけました。田舎の春の香りのおすそ分けが出来てうれしかったです。

お次は婿泣かせです。なんだかネーミングがいいですよね。何でも婿が泣いて喜ぶほど美味しいということでこの名で呼ばれる様になったと言われています。

この山菜の正体はキバナアキギリと言ってシソ科アキギリ属に分類される多年草です。秋には可愛い黄色の花を咲かせます。その花の形がサルビアに似ていることから学名はサルビアニッポニカと呼ばれています。

この婿泣かせ、とにかく香りがあって美味しいんです。食べるのはツルの先端の部分だけです。それをたくさん採ってやはりさっと湯がきます。軽くお醤油を掛けていただくといい箸休めになります。

山菜の苦味が苦手という方もおられるかと思います。もちろんアレルギーなどがあれば別ですが、そうでないなら山菜の苦味は冬のなまった体や内蔵を活性化させるデトックス効果があります。

また体内の活性酸素を除去して老化を防止するポリフェノールも多く含まれています。それで春の山菜の時期には採取するか直売所で購入して春の香りを頂きましょう。